確定申告や住民税の申告を考える時、「申告不要」と言われる制度があることをご存じですか?
実は、一定の条件を満たしていれば、住民税の申告が不要になるケースがあります。
しかし、申告不要制度の仕組みを正しく理解していないと、「必要な控除が受けられない」「公的支援の対象にならない」といったリスクもあるため注意が必要です。
この記事では、「住民税の申告不要制度」とは何か、誰が対象になるのか、注意すべきポイントまでわかりやすく解説します。
目次
- 住民税の仕組みと申告の役割
- 住民税の申告不要制度とは?
- 申告不要となる具体的な条件
- 申告不要でも申告すべきケースとは
- よくある勘違いと注意点
- まとめ:申告不要=手続きゼロではない
- 【参考リンク】国・自治体の情報
1. 住民税の仕組みと申告の役割
住民税は、前年の所得をもとに市区町村が計算・課税する地方税です。
通常は、次のような方法で市町村があなたの所得を把握します。
- 会社員・年金受給者:勤務先や年金機構からの源泉徴収票や支払報告書
- 自営業・無職など:確定申告または住民税申告
つまり、あなたが何らかの方法で所得を申告しない限り、正しい課税や非課税の判定ができないのです。
2. 住民税の申告不要制度とは?
「申告不要制度」とは、すでに自治体があなたの所得情報を把握している場合に、住民税の申告が不要になる仕組みのことです。
主に以下のような人が対象です:
- 会社員で、年末調整済かつ副収入がない人
- 年金収入のみで、一定額以下の人(公的年金等の源泉徴収票が市町村に送られる)
- 確定申告をすでに済ませた人
ただし、収入がまったくない人や、年金収入だけでも非課税の人は注意が必要です。
申告不要でも申告しなければ非課税扱いとならない場合があります。
3. 申告不要となる具体的な条件
以下に該当する場合、多くの自治体で住民税の申告が不要となります。
✅ 年金受給者で以下すべてに該当する方:
- 公的年金等の収入のみ
- 年金収入額が以下の基準以下
65歳以上:年金収入158万円以下
65歳未満:年金収入108万円以下 - 他に所得がない
- 確定申告もしていない
※年金機構が発行する「公的年金等の支払報告書」が自治体に提出されるため、住民税申告を省略できる場合があります。
✅ 年末調整済の給与所得者:
- 副業や不動産収入がない
- 医療費控除などの追加申告をしない場合
4. 申告不要でも申告すべきケースとは
申告が「制度上不要」でも、次のような場合は申告をおすすめします。
● 非課税証明書が必要なとき
→ 申告していないと「住民税非課税証明」が発行されないことがあります。
● 各種福祉・支援制度を受ける場合
→ 住民税非課税世帯と認定されるためには、住民税申告が必須な制度も多くあります。
例:保育料減免、就学援助、高等教育の無償化、給付金支給
● 配偶者控除・扶養控除の対象者になる場合
→ 扶養される側が申告していないと、控除対象外とされる場合があります。
5. よくある勘違いと注意点
❌「収入がないから申告しなくていい」は誤解
→ 無収入でも住民税申告(所得申告)をしないと、非課税扱いになりません。
❌「年金だけだから自動的に大丈夫」も要注意
→ 年金額が基準を超える、または年金以外の所得がある場合は申告が必要です。
6. まとめ:申告不要=手続きゼロではない
住民税の申告不要制度は、条件に合えば手続きが不要になる便利な制度ですが、自分が対象かどうかの確認は必須です。
また、制度を使わずに申告をしないと、「非課税証明が出ない」「支援制度が受けられない」などの不利益が生じる可能性も。

特に、セミリタイア後や年金生活に入ったばかりの方は、一度自治体の窓口で確認することを強くおすすめします。
7. 【参考リンク】国・自治体の情報
- 総務省|個人住民税の申告制度について
👉 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_06.html - 国税庁|確定申告をする必要がある人
👉 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2024/01/1_06.htm
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