目次
- 住宅ローン完済の意味と一般的な考え方
- 住宅ローンを早く返すべきと言われる理由
- 住宅ローンをあえて完済しない選択肢
- 繰上げ返済の種類と特徴
- 完済・繰上げ返済のメリット・デメリット比較表
- 金利と資産運用の視点から考える
- 住宅ローン完済を検討する際のチェックポイント
- まとめ
1. 住宅ローン完済の意味と一般的な考え方
住宅ローンは多くの人にとって人生最大の借金です。
35年ローンや40年ローンが当たり前になり、借入額が3000万〜5000万円に達することも珍しくありません。
「借金はできるだけ早く返すべき」というのは昔から根強い価値観です。
実際、完済すれば心理的な安心感が得られ、毎月の返済から解放されます。
しかし一方で、低金利時代においては「完済しないほうが得」という考えも広まりつつあります。
2. 住宅ローンを早く返すべきと言われる理由
(1) 利息負担を減らせる
住宅ローンは借入残高に応じて利息が発生します。
例えば金利1%で3000万円借りると、35年間で利息総額は約560万円(元利均等返済の場合)になります。
繰上げ返済をすれば、残りの期間に発生する利息分を節約できます。
(2) 老後資金計画が立てやすくなる
定年後にローンが残っていると、年金や貯蓄から返済を続ける必要があります。
完済していれば、生活費の負担が軽くなり、老後の不安も減ります。
(3) 心理的な安心感
「毎月〇万円のローン返済がなくなる」という精神的メリットは大きいです。
借金ゼロは、経済的自由度の向上にもつながります。
3. 住宅ローンをあえて完済しない選択肢
(1) 低金利の恩恵を活かす
現在の住宅ローン金利は、変動金利で0.3〜0.7%、固定金利でも1%台です。
この低金利で資金を借りられるなら、あえて返さず運用に回すほうがリターンが期待できる場合があります。
(2) 団信(団体信用生命保険)の活用
住宅ローン契約時には団信への加入が必須で、多くの場合、契約者が死亡・高度障害状態になるとローン残債がゼロになります。
このため、ローン残高を保険代わりに使う発想もあります。
(3) 流動性確保
手元に現金が残っていれば、緊急時にすぐ使えます。
ローンを繰上げ返済すると現金が減り、予期せぬ出費に対応しづらくなるリスクもあります。
4. 繰上げ返済の種類と特徴
繰上げ返済には大きく2種類あります。
- 期間短縮型
- 毎月の返済額は変えず、返済期間を短縮
- 利息削減効果が大きい
- 早くローンを終わらせたい人向け - 返済額軽減型
- 返済期間は変えず、毎月の返済額を減らす
- 家計負担をすぐ軽くできる
- 教育費や他の出費が多い時期に有効
5. 完済・繰上げ返済のメリット・デメリット比較表
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
完済 | 利息負担ゼロ/老後の安心感/借金ゼロの心理的安定 | 手元資金が減る/運用機会の喪失 |
繰上げ返済 | 利息削減効果大/完済時期が早まる | 流動性低下/繰上げ返済手数料(金融機関による) |
完済しない | 資産運用で高リターン狙える/現金流動性確保/団信の保障活用 | 利息負担継続/完済の安心感が得られない |
6. 金利と資産運用の視点から考える
例1:金利0.5%、資産運用利回り3%の場合
- 3000万円の住宅ローンを完済せず、資金を年3%で運用
- 運用益3% – 借入金利0.5% = 実質年2.5%のプラス効果
例2:金利1.5%、運用利回り1%の場合
- 借入金利のほうが高いため、繰上げ返済したほうが得
結論:金利より運用利回りが高ければ返さず運用、低ければ返すのが基本指針です。
7. 住宅ローン完済を検討する際のチェックポイント
- 住宅ローン残高と金利
- 高金利ローンなら優先返済を検討 - 資産運用の利回り予測
- 確実性の高い運用ができるか - ライフイベントの予定
- 教育費・結婚・介護など大きな出費予定 - 手元流動性の確保
- 生活費6〜12か月分の現金を残せるか - 老後資金の見通し
- 定年後の返済可否と年金額を確認
8. まとめ
住宅ローン完済は、「絶対すべき」でも「絶対すべきでない」でもありません。
金利・資産運用・ライフプラン・心理的安心感のバランスを見て判断するのがベストです。
- 安心感重視 → 繰上げ返済・完済
- 資産効率重視 → あえて返さない

どちらを選ぶにしても、緊急時に使える現金は必ず確保しましょう。
住宅ローンは長期戦。計画的な返済と運用の両立が、家計の安定につながります。
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