セミリタイアと年金受給の最適タイミング|繰上げ・繰下げのメリット・デメリットを徹底解説

税金・社会保障

目次

  1. セミリタイアと年金の関係とは
  2. 公的年金の基本(老齢基礎年金・老齢厚生年金)
  3. 年金受給開始年齢の選択肢
     3-1. 繰上げ受給(60〜64歳)
     3-2. 標準受給(65歳)
     3-3. 繰下げ受給(66〜75歳)
  4. 繰上げ・繰下げのメリット・デメリット
  5. セミリタイア後の収入源と年金開始時期の考え方
  6. 年金受給シミュレーション例(パターン別)
  7. 年金受給のタイミングを決めるためのチェックポイント
  8. まとめ

1. セミリタイアと年金の関係とは

セミリタイアとは、定年よりも早い時期に仕事を減らし、生活費を投資収入・副業収入・貯蓄からまかなう生き方です。
完全リタイアよりも柔軟性があり、早く自由な時間を手に入れられるのが魅力です。

しかし、ここで重要になるのが公的年金の受給開始時期です。
日本の公的年金は原則65歳からの支給ですが、セミリタイアを50代前半や60歳で行う場合、年金が入るまでの空白期間をどう過ごすかが課題になります。

さらに、年金は繰上げ(早めてもらう)ことも繰下げ(遅らせてもらう)こともでき、その選択によって一生の受給額が変わります。
このタイミングを誤ると、老後資金が想定より少なくなるリスクがあります。


2. 公的年金の基本(老齢基礎年金・老齢厚生年金)

公的年金は大きく分けて2種類あります。

  1. 老齢基礎年金(国民年金)
     - 全国民が加入
     - 40年間満額納付で2025年度は年間約81万円(1か月約67,500円)
     - 加入期間が短いとその分減額
  2. 老齢厚生年金
     - 会社員や公務員が加入
     - 収入や加入期間に応じて上乗せ支給
     - 平均的な受給額は年間約140万円前後(基礎年金含むと200万円超になるケースも)

セミリタイアをすると厚生年金の加入期間が短くなり、将来の年金額が減る可能性があります。
また、保険料納付をやめると国民年金の加入に切り替わるため、老齢基礎年金部分だけになる期間が発生します。


3. 年金受給開始年齢の選択肢

3-1. 繰上げ受給(60〜64歳)

  • 65歳からの受給を最大5年前倒し
  • 1か月繰上げごとに0.4%減額(2025年度)
  • 60歳で受給開始すると約24%減額され、一生その額が続く
  • 早くから安定収入を得られる反面、長生きするほど総額が少なくなる

3-2. 標準受給(65歳)

  • 減額も増額もない基準の受給開始年齢
  • 空白期間は自力で生活費を確保する必要あり
  • 最も多くの人が選ぶ無難な選択肢

3-3. 繰下げ受給(66〜75歳)

  • 65歳からの受給を遅らせる制度
  • 1か月繰下げごとに0.7%増額
  • 75歳まで遅らせると最大84%増額
  • 長生きするほど有利だが、開始までの生活資金が必要

4. 繰上げ・繰下げのメリット・デメリット

タイミングメリットデメリット
繰上げ早くから安定収入を得られる/生活資金不足を補える一生減額された額しかもらえない/長寿リスクに弱い
標準(65歳)減額も増額もなく安定/制度上の基準空白期間の資金確保が必要
繰下げ長生きするほど総額が増える/インフレへの一定の対応開始までの資金が必要/短命だと総額が減る

5. セミリタイア後の収入源と年金開始時期の考え方

年金の繰下げを選ぶ場合は、65歳までの資金計画が重要です。
代表的な収入源は以下の通りです。

  • 配当金・利子収入(高配当株・債券など)
  • 不動産収入(賃貸経営)
  • 短時間労働・副業(クラウドワークス、ココナラなど)
  • 企業年金や退職金
  • 預貯金の取り崩し

これらを組み合わせて「年金を遅らせる期間」をカバーすれば、将来の受給額を増やせます。


6. 年金受給シミュレーション例(パターン別)

条件:老齢基礎年金+老齢厚生年金=年間150万円(65歳開始時)

  • 60歳開始:年間約114万円(▲36万円)
  • 65歳開始:年間150万円(基準)
  • 70歳開始:年間約183万円(+33万円)

累計受給額(80歳まで生存)

  • 60歳開始:約2,280万円
  • 65歳開始:約2,250万円
  • 70歳開始:約1,830万円

累計受給額(90歳まで生存)

  • 60歳開始:約3,420万円
  • 65歳開始:約3,750万円
  • 70歳開始:約3,660万円

→ 80歳時点では繰上げ有利、90歳時点では標準・繰下げが有利という結果。
つまり長生きリスクへの備えを重視するなら繰下げ、短期的な資金確保を優先するなら繰上げです。


7. 年金受給のタイミングを決めるためのチェックポイント

  1. 健康状態・寿命予測
     - 家族の長寿傾向や自身の健康診断結果を考慮
  2. 資産状況
     - 投資資産、不動産、現金の総額と運用利回り
  3. 収入の多様性
     - 年金以外に生活費を賄える収入源があるか
  4. インフレ対策
     - 物価上昇による生活費増加をカバーできるか
  5. 社会保険料・税金
     - 年金額が増えると所得税や介護保険料負担も増える場合あり

8. まとめ

セミリタイアを成功させるには、年金受給開始年齢の選択が極めて重要です。

  • 資産に余裕があり長寿に備えたい → 繰下げ受給
  • 早くから安定収入を確保したい → 繰上げ受給
  • 無難にいきたい → 標準65歳受給
にゃんきち
にゃんきち

いずれにしても、年金だけに頼らず複数の収入源を持つことが、セミリタイア生活を安定させる最大のポイントです。
年金ネットなどで自分の見込額を確認し、ライフプランに沿った最適な受給タイミングを選びましょう。


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